山形県では、2017年度も『とびしまクリーンツーリズム』をキャッチフレーズとして、山形県唯一の離島、飛島を舞台に県内各地域の小学生の親子を対象に海のごみ問題について学ぶ1泊2日の体験ツアーを行っています。
海岸の清掃活動をはじめ、自然観察や漁船クルーズ、スノーケリングなど飛島ならではの体験を通して自然豊かな飛島の魅力に触れながら、美しい自然と豊かな海を守ることの大切さについて学ぶプログラムです。各回32名で全6回、192名の参加を予定しています。

今回は、7月8日-9日の土曜-日曜、2日間にわたって親子16組が参加したツアーの様子をお届けします。

1日目

午前中は島の中の過ごし方など、オリエンテーション。
2日間のスケジュールの確認や、飛島での過ごし方の説明のほかに参加者同士での自己紹介を行います。初めて会った参加者同士ですが、子どもたちはすぐに打ち解けます。

離れ小島を見に行こう!漁船クルーズ体験

午後からは、漁船に乗って飛島の沖合1kmに浮かぶ御積島(おしゃくじま)、烏帽子群島(えぼしぐんとう)まで漁船に乗って向かいます。
今回は、勝浦地区の千早丸と海幸丸という二隻の漁船に分乗して出発です。
この日は快晴、海と空の青さが際立ちます。

岩の間を縫うように走る漁船。海面から見上げる岩々から自然の雄大さが感じられます。
見所に近づくと、島の案内人「とびしまコンシェルジュ」が飛島の生立ち(飛島は火山活動と隆起によってできた島)や自然、海のことなど丁寧に解説してくれます。

夜の磯観察会

夕食後は磯ウォッチング。
夜の磯は生き物たちがいっぱいです。懐中電灯で照らすと、眠っているのか漂うように泳いでいる魚が観察できました。
夜行性のエビやカニ、ヤドカリは昼にもまして活発に動いています。
普段は見ることができない海の姿に出会いました。

2日目

翌日は清掃体験と座学研修です。
清掃体験の舞台は、島の西海岸です。集落のある島の南東側とは反対側を目指して歩きます。

移動はガイド付きのトレッキング

道中は島の台地の上にある森の中を通っていきます。空気はひんやりして涼しく感じます。
歩いていく途中で、とびしまコンシェルジュが島の自然について解説してくれます。
明治時代に人が植えたクロマツの林の中には、自然と芽吹いた若いタブノキが育ち始めています。
飛島の森の一部で何十年という長い期間をかけて進んでいく、世代交代の場面に立ち会ったのかもしれません。

発見がたくさん、海岸清掃

ゆっくり自然を見ながら歩いて25分ほどで島の西側の海岸、「ソデの浜」に到着します。
海の青い色は、前日船の上から見たのとは違っています。遠くには船で近くまで行った烏帽子群島(写真の左側)と御積島(写真の右側台形の島)も見えます。

いよいよごみ拾いの始まりです。2016年度も5回ほど清掃したこの海岸ですが、冬の間の荒波と強風、台風などの影響で新たにごみが流れ着いています。
親子で一袋、どんなものが落ちているのか、じっくり観察しながら拾います。

清掃後は、休憩を兼ねつつ、磯遊びです。
思い思いに貝殻を拾ったり、ヤドカリを捕まえたり、カニを追いかけたりしているとあっという間に時間が過ぎます。

しっかり勉強会

最後に座学を行いました。どうして飛島の海岸にごみが流れ着くのか、外国の文字が書いてあるごみは、どこから来たのか、紙芝居やスライドを使って勉強します。
実際に網(魚を取るときに使う)に絡まってみる体験もやってみました。
アシカの真似をして、指や腕の動きを制限すると網の切れ端が首にかかっているだけなのに、なかなか抜け出すことができません。

海のごみは景観や、私たち人間がレジャーで使う海岸を汚すだけでなく、海にすむ生き物の命を奪ったり、生態系にまで影響を与え始めています。
前日体験した飛島の海の魅力を守るためにも、海のごみを減らしていく取り組みが必要です。

ウミネコにさようなら

午後からは、自由時間です。思い思いに、カニ捕りをしたり魚釣りをしたり、サイクリングをしたりして楽しんでいました。
帰りの定期船も、楽しみ満載です。
ウミネコと戯れていると、あっという間に酒田港。2日間お疲れ様でした。

テレビ放送のお知らせ

今回のツアーにはNHKの取材班が同行していました。
取材した映像は、8月1日(火)午後6時10分から放送の「やままる」(NHK総合)で放送されます。
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