日本の海岸に流れつくごみの内、7-8割は陸域で使われていたものが占めています。今回の調査では、赤川(上流部梵字川)の滞留、散乱ごみの状況を調査・分析し、効果的な発生抑制対策の方法を探りました。
地図は調査点と河川敷の清潔度のマップです。マーカーの数値は水辺の散乱ごみの指標評価手法による、調査地点の清潔度ランクを表しています。
マーカーをクリックすると、調査データが表示されます。「川ごみ調査カード」を使って分析した調査地点については、「詳しく見る」リンクをクリックすることで、そのほかの写真や調査カードを見ることができます。

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001_A1R-赤川右岸河口部: 38.847847, 139.785919
002_A2R下-赤川右岸袖浦橋下流側: 38.846660, 139.790726
003_A2R上-赤川右岸袖浦橋上流側: 38.846589, 139.791305
004_A3R下-赤川右岸新川橋下流側: 38.841346, 139.815273
005_A3R上-赤川右岸新川橋上流側: 38.841162, 139.816089
006_A3-4R中-赤川右岸黒森樋門付近船着き場: 38.839306, 139.823513
007_A4-5R中-赤川右岸生産者交流センター付近: 38.819022, 139.841999
008_A5-6R中-赤川右岸庄内総合支庁付近: 38.801674, 139.846494
009_A6-7R下-赤川田田大橋付近: 38.789658, 139.844778
010_A6-7R上-赤川右岸横山集落付近: 38.776637, 139.845529
011_A7-8R中-赤川右岸ごみ処理施設対岸: 38.752828, 139.850228
012_A7-8R-赤川三川橋鉄橋下: 38.739164, 139.852105
013_A8-9R下-赤川右岸三川橋手前: 38.734804, 139.851065
015_A9-10R下-赤川羽黒橋上流: 38.719403, 139.857244
016_A10-11R中-赤川右岸櫛引ヘリポート付近: 38.687536, 139.860978
017_A3-4L中-赤川左岸三川町若谷地警報所付近: 38.833607, 139.824200
018_A7-8L中-赤川左岸内川合流地点: 38.752845, 139.849133
019_A8-9L上下-赤川左岸赤川グラウンド: 38.725396, 139.850185
020_U1L-内川赤川合流地点: 38.753146, 139.847932
030_A17-18中-梵字川米の粉の滝ドライブイン付近: 38.590309, 139.881792
028_A17R-梵字川三栗屋橋上流側: 38.589688, 139.851408
027_A16L上-梵字川立岩橋下流側: 38.610298, 139.838705
025_A16R下-梵字川立岩橋下流側: 38.611790, 139.838812
021_A11-12R-赤川黒川橋上流: 38.676263, 139.861794
022_A12-13L中-赤川水無川合流地点: 38.652908, 139.856472
023_A14-15R上-赤川あずま大橋上流: 38.632729, 139.853382
024_A15R上_赤川熊出水門上流: 38.621263, 139.842267
026_A16L下-梵字川立岩橋下流: 38.611304, 139.838212
028_A17R-梵字川三栗屋橋上流側: 38.589688, 139.851408

清潔度ランク(地図中の数字表記)について

水辺の散乱ごみの指標評価手法を用いて、調査地点の清潔度ランクを調べました。
この手法は、海岸(川岸)線10Mあたりにどの程度のごみが散乱しているかをランク0(まったくごみがない)~ランク10(軽トラック一台分のごみのごみがある)までランク分けするものです。
詳しくは、山形県海岸漂着物対策推進地域計画をご覧ください。関連ページのみ、抜粋したものはこちらからご覧いただけます。


PDFファイル:水辺の散乱ごみの指標評価手法・概要

 

ランクゴミ袋の数量(袋)かさ容量(L)ランクゴミ袋の数量(袋)かさ容量(L)
00約480
約1/161.25約8160
約1/82.5約16320
約1/45約32640
約1/210約641280
約120約1282,560
約240

赤川

赤川河口から上流部の支流、梵字川まで約45kmを調査範囲としました。薄いピンクのマーカーでなぞった範囲です。そのうち、護岸工事などで立ち入り禁止の場所を除き、基本的にごみの散乱が見られた地点(19か所)において漂着物の回収・分析を行いました。
調査の時期は、降雪前の11月中旬から12月、雪解け後の3月としました。

各地点ごとに、調査区画を決め、回収したごみの種類と数を数え、「川ごみ調査カード」を使って分析しました。

2014川ごみカード(汎用版)_01

ただし、上流部はごみが少なかったため、写真記録のみ行いました。※川ごみ調査カード
日本では一般社団法人JEANが主催している、米国発の市民参加型の調査クリーンアップ活動「国際海岸クリーンアップ(International Coastal Cleanup : ICC)」で使われるデータカードの河川版です。
外部リンク:一般社団法人JEAN

赤川19地点で回収したごみの集計結果です。回収したごみの総重量は 計 70.9 Kg で、 種類別ワースト10、地点別回収量ワースト10は次の通りです。

種類別ワースト10

ワースト品目数量
1発泡スチロールの破片326個
2飲料ペットボトル161本
3飲料缶155本
4ポリ袋・シートの破片82枚
5硬いプラスチックの破片74個
6飲料びん(リポDびんが多数)63本
6食品のポリ袋(菓子袋等)63個
8食品の発泡スチロール容器55個
9買い物レジ袋48個
10食品のプラスチック容器39個

トップの発泡スチロール破片は、農業用資材や収穫物を入れるために使われていたものと推測されます。それらが放置されたり、風に飛ばされたりして、川に流され、立ち木や茅などにひっかかり、破損されながら下流に行くほどに細かになっていく構図が読みとれます。
2、3、6、7、8、10位と、食べ物、飲み物の容器類が6種類もワースト10に入っていました。
加えて、9位にはレジ袋が入っており、この状況からレジ袋に入れられた食品類、飲み物類が飲食の後に不法に投棄されている構図が見えてきます。

調査地点別回収量ワースト10

ワースト調査地点重量回収数 / 種類
1田田大橋 上流側50m 付近右岸11.3 Kg162 / 15
2袖浦橋下 右岸上流側7.4 Kg192 / 23
3赤川河口 右岸7.4 Kg309 / 21
4袖浦橋下 右岸下流側6.3 Kg122 / 20
5新川橋下 右岸下流側5.9 Kg125 / 13
6新川橋下 右岸上流側5.3 Kg169 / 21
6庄内総合支庁信号下付近4.9 Kg70 / 11
8赤川グラウンド川辺4.5 Kg26 / 13
9三川橋 鉄橋下付近3.9 Kg19/ 9
10三川町横山集落 土手下付近3.2 Kg48 / 20

赤川河口から新川橋までの下流部分が2位から6位と半分を占めていて、種類も数も多くなってます。
ワースト1の田田大橋上流側50mのところでは平成25年12月現在、護岸工事が始まっており、表土がはがされて土中から栄養ドリンクビン31本、ガラスの破片の入った袋、マルチシートを多数回収しました。長年不法投棄が行われていたことが想定されます。

赤川河川ごみのごみ回収と写真撮影による調査を行い、赤川の河川ごみの特徴や発生原因など、赤川において発生するごみの実態がいくつか明らかになりました。

ごみの漂着状況の特徴
    • 上流から下流にしたがってごみが増えることがわかりました。これは、下流に行くほど合流する支流の数が増え、流域に暮らす人口が増えていくためと推測されます。
    • 河川ごみは比較的原形を留めたものが多いのですが、下流に行くにつれて破壊されていき、破片化することがわかりました。また、海岸に漂着しているごみと比較することにより、海でさらに破砕され細かくなっていく構図が明らかとなりました。
    • 赤川のごみの種類は、大きく分けて農業系ごみと生活系ごみの2種類が大半を占めています。農業系ごみは管理の問題がありますが、どちらにも共通するのは不法投棄(ポイ捨てを含む。)の問題です。


    考えられる発生抑制対策
          • 支流や小水路、堰などで本川に入る前にごみを回収する必要があります。
          • 河川敷の立木や草地が整備されていないと、そこにごみが滞留して便乗した不法投棄場所になってしまう可能性があるので、整備が必要です。
          • 新川橋下のポイ捨て状況で見られたようにポイ捨てを常習化している人がいると思われます。このような場所での監視や指導などを講ずる必要があります。
          • 赤川は河川敷で畑作を行われている方々も多く、発泡スチロール箱、肥料袋、マルチシート、苗木ポット等の資材の管理と持ち帰りを徹底する必要があります。
          • 漂着、散乱しているごみは海に流れ出る前の回収が望まれます。しかし、新川橋や袖浦橋の下のように、場所によってはいばらが多くとげが刺さったり、衣服が破損したりして危険な場合があるので、回収の際は注意が必要です。
          • 河川敷に降りていく道路があると、そこを降りて行き飲食等をして、ごみをポイ捨てする可能性が生まれます。必要のない車の進入禁止やポイ捨て禁止の立て札を立てることなども有効と思われます。
    結論として、海岸漂着物(海ごみ)の発生起源は、決して海(外国)由来のものだけではなく、陸地(国内)由来のものが相当数含まれています。なんら特別なものが海に流れて行っているのではなく、私たちの日常生活や事業活動に使われたものが河川を通して海へと流れ出ていることが本調査でも明らかになりました。
美しいやまがたの海プラットフォーム協働事務局を担うNPO法人パートナーシップオフィス鶴岡工業高等専門学校が実施しました。